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イルカが愛を確かめにくる、青い海の底の日常生活

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2012年4月劇場鑑賞映画

WOWOWで「オペラ座の怪人」25周年記念ロンドン公演の放送があったのね。すんごいわね。私は12年前に観に行ったけど、時差ぼけと疲れと英語で話がわからずで所々寝ちゃったんだよね。でもすごかった、というのは記憶に焼きついてるんだけど、こうやって家でゆっくり観てみると、やっぱりこの話ってどう考えても、The Phaaaaaaaaaaaaaantom of the Opera is there♪ と歌う始まったばかりの辺りが一番のハイライトで、次が中盤の「マスカレード」で、クライマックスの3人の痴話喧嘩はイライラして面白くない。私だけ?
この25周年、最後はアンドリュー・ロイド・ウェバーが登場し、歴代の出演者が出てきて歌ってすごく豪華なんだけど、初代クリスティーヌのサラ・ブライトマン、うまいけどさあ、一人だけ間をたっぷりためたりゴインゴイン音を伸ばしたり、他の共演者と合わせる意思が全然感じられなくてなんか感じ悪かった。有名になるとやっぱあんなになっちゃうんだろうか。
なんにしても一応DVDに落としておいた。いつかまたロンドンで観たい。そして今月は映画が当たり続きでうれしい。どうぞ↓

ブエノスアイレス ★★★★★+α
2012年4月劇場鑑賞映画_a0031041_15224671.jpg日本国内の版権が切れるらしく、神戸のマニア劇場・元町映画館で、日本最後の劇場公開ということで行って来ました。まあ、また版権を買えば見れるわけだけど。
「ブエノスアイレス」を初めて観て衝撃を受けたのは10年ちょい前。その少し後に大阪の小さな劇場で香港映画特集をやってて、カーウァイ作品にどっぷり浸かりつつも映画館で観たことがなかった私はホクホクで観に行った。確かその日は「ブエノスアイレス」→「恋する惑星」→「花様年華」という順番で、2本目からは半券を見せれば安くなるシステムだった。1本終わるごとに「次の」と言って券を買い、ロビーで事前に買い込んだおにぎりやら何やらを食べてたら、係員が「すごいね、よっぽど好きなんだね」とひそひそ言ってた。オタクぶりが認められたみたいでちょっと嬉しかった(笑)
今回も、フィルムなんかノイズだらけで年季が伺えるんだけど、ウォン・カーウァイの映画ってそんなのが良いんだとしみじみ思う。「2046」はキムタク効果で、「マイ・ブルーベリー・ナイツ」はハリウッド効果で、それぞれシネコン上映になったんだけど、あの時の違和感といったらなかった。それにデジタルリマスタリングしたカーウァイ作品もDVDで出てるけど、そういうのも違う気がする。やっぱり、ちいさくて、薄暗い(これは当たり前か)マニア好みの映画館で、輪郭がボヤけたような映像とアナログな音でひっそり観たいよなカーウァイは。
内容に関してはもういろいろ書いたから飛ばすとして、やっぱり私はカーウァイではこれが最高。トニー・レオンは今でも私の一番だし、レスリー・チャンがこの世にいないなんて信じられない。けど今回見てチャン・チェンの内面からきらきら輝く若さがすごくまぶしかった。この人を初めて見たのは「グリーン・デスティニー」で、格好良いけどビジュアルで押す俳優なのかと思ってたけど、その後ちゃらちゃらせず堅実に演技派の道を歩いてるのも好印象だし。
やっぱり何回観ても、チャンはストレートなのか? トニーの相手が男なのに気づいたか? というのが気になるこの映画、その辺りのうやむやカーウァイマジックが心憎いですなあ。大満足の一日でした。


「アーティスト」 ★★★★
2012年4月劇場鑑賞映画_a0031041_21212686.jpg日曜の朝イチの回に行ったのに、びっくりするぐらいガラガラだった。アカデミー作品賞受賞であんなに人が入ってないの、ここ20数年で初めて見た(汗)
でもまあ、イマドキ白黒の無声映画ときたらしょうがないのかも。私は逆に新鮮で面白かった。何より主演のジャン・デュジャルダンが、まさに往年のスターみたいで素敵じゃないですか~! 私的に格好良いフランス男って本当に少ないと思ってるんだけど、彼はその貴重な一人ですな。そしてやっぱり、映画黄金時代の夢と憧れが詰まっている。どこをとっても美しく、現代の、スターを自分のレベルまで引きおろすような、ゴシップやパパラッチ写真の氾濫がない時代に100分間だけ逆戻りできるような。
ラブストーリーが美しいというのも、今となっては本当に難しくて、いろいろ見ててつくづく思うんだけど、本当に映画における恋愛描写ってどんどんレベルが下がっているのですよ。信じられない話だけど、本筋に全く関係ないのに嘔吐シーンが出てくるラブストーリーってやたらと多くて、始まってすぐにこういうシーンが出てきた場合、私はもう観るのをやめることにしている。だってそんなの最後まで観て、美しいものを期待できますか? だいぶ経ってから出てきたらしょうがないから全部観るけど、テンションだだ下がり必至。笑いのシーンをはさむためにやってるのか知らないけど、あれを面白いと思って撮ってる感覚も全く理解できない。だから昨今ゲイのラブストーリーで心に残るものが多いのは、そこにこの手の(面白くもない)笑いをはさむ余地がないからではないだろうか、と思う。
笑いと言えば、ねたばれ→この映画では言うまでもなく犬なわけで、ああいうのも王道なんだろうけどやっぱり可愛くて良いね。観客が笑うシーンでは必ず音楽が途切れるようになってて、その辺りの計算も巧い。
ただ、星が半個ぶんだけ足りないのは、サプライズをほんの少しだけでも挟んでほしかった。そういうタイプの映画ではないとわかっていつつも。チラシなんかでも使われてる、主演の二人がこちらに向かって手を広げてるのがラストシーンなんだろうなという所までわかって観ているのは、やっぱり星1個ぶん味気なかったかな。←ねたばれ終わり


「ピナ・バウシュ 夢の教室」 ★★★★
2012年4月劇場鑑賞映画_a0031041_22323394.jpg先月観た「ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」のラストで踊っていた「コンタクトホーフ」を、10代の少年少女たちが踊るところから映画は始まる。ダンス経験のない10代と、プロの違いは明白だけど、大事なのは結果よりも過程の方にあって、これはその過程を追ったドキュメンタリー。
まあ、たまたまこのピナ・バウシュという人の映画でドキュメンタリーが続いたわけだけど、本来はそれほど好きなジャンルではない。けど二本とも、ピナその人はほんの少ししか登場しないのに、すごく面白かった。ここに集まった10代の40人は同じ学校でさえないらしく、毎週一回練習のために集まるようなんだけど、その仲良くもなりきれないような微妙な練習頻度と、あの年代独特の気恥ずかしさが良い。舞台の端と端に座った男女が服を一枚ずつ脱いでいくという演技があって、「気恥ずかしさを残して」という指導があるんだけど、10代で舞台で服を脱ぐなんて言われなくても恥ずかしさありありなわけで、最初は「できない」と言っていたそういう殻をみんな少しずつ、少しずつ取り払っていく。それを見守るコーチ陣とピナの眼差しが優しい。
ピナが二本の映画の中で繰り返し言うのは「自分を表現すること、解放すること」。私がHPとかblogを始めたのも元々は「自分を表現したい」という理由だったけど、今はそんな欲求はさほどなく、習慣になって書いてる部分が大きい。表現することと我が強いことの違いも難しくて、自意識過剰を丸出しにして自己主張する人を見ると嫌な気分になる。けど自分にもそういうのはかつて大いにあったし、今でもたまにそういうのが顔を出して反省したりする。
けど自意識とか我とかを手放したつもりになってニコニコと涼しい顔をしてみても、やっぱり・・・そういうのは少し違う気がする。表現と我の違いなんてうじうじ考えているうちは、まだまだ「解放」までは至ってないのだろう。今後どれだけ自分を解放するか、そんなことができるのか、、、なんてことを考えつつ、この映画の可能性に満ちた10代を見るのはやっぱり清清しい。


「ドライヴ」 ★★★★★
2012年4月劇場鑑賞映画_a0031041_21534882.jpg大好きなキャリー・マリガン出演作ということでチェックはしていたものの、ライアン・ゴズリング的映画(ってどんなだ)が好きじゃなかったものですから、観なくて良いやとパスする方向だったけど、世間の評価がすごく高いので急遽観に行くことに決定。昔は天邪鬼で人が好きなものなんて嫌いだ!の精神でいたけれど、ここ数年この世間の評価は侮れないと必ず作品選考の際の参考にしている。
というわけでぅわお、出た!(by岡田) 星5個ですわ。ストーリー自体はまあ、大したものじゃないんです。あらすじを話すと1分で終わっちゃうような。低予算映画だけに目を瞠るような斬新さがあるわけでもない。だけどなんでしょう、80年代を彷彿とさせるような音楽の使い方、死語となった「胸キュン」という言葉がまさに似合うようなシーンも飛び出すし、エンドロールでは久々にアドレナリン出し尽くした後に足から脱力してガタガタ震えるような感じを覚えて(ただ単に昼食前で腹が減っていただけ?)。映画を観始めた頃にこういう感覚を何度も味わったなってしみじみ、それだけでもうありがとうと星5個献上したい気分。
ねたばれ→純愛というと大昔は白痴的女性が主流だったりしたし、なんとなく設定的に似た感じもある「レオン」は、相手が子供という部分で枷をかけたりした。でも現代はこれなんですね、「人妻」(またはゲイ)。17歳というまだ世間も知らない頃に出会った相手と子供が出来て結婚、刑務所からの出所をひたすら待つという人物設定は、このご時勢に見るとそれこそ多少白痴的でもあったりするけど、あのキャリー・マリガンの愛らしい横顔を見たら、恋するなという方が無理でしょう。
また、大してお金に困ってる様子はないのにしょっぱなから銀行強盗の片棒を担ぐというのも、ドライバーの何か闇の部分を見るようで、それは映画史に残るような美しいキスシーンの後で冷酷に顔を踏み潰すシーンにも表れてて。
だからラストシーンでどうかドアを開けてほしいと願ったのもあてが外れ、多分あのドライバーは命があって帰れるかどうかは問題ではなく、自分の後ろ暗さをアイリーンに見られたことが問題なわけで。それが冒頭で裏稼業をしてたことにも繋がり、彼は昔にも誰かにそんな部分を見られたのかもしれない、そんな風に説明過多でない所が、やっぱり巧いなあと唸らせるのだ。そうだ、死んだの? 生きてるの?と息を詰めた瞬きシーン、絶対私も我慢するぞ!と意気込んだのに3回も瞬きしてしまって、あの辺もこうやって先を読む映画ヲタクを負かせる作りが、さらにさらに映画ヲタ且つプロのものなんだなと感心しますね。←ねたばれ終わり
ライアン・ゴズリングはまさしくこの役に打ってつけでしょう。一見優男風のルックス、だけど意外としっかりとした上半身、なのにスラリと細い足。これが私のお気に入りのジョセフ・ゴードン=レヴィットだったらやっぱりもろ優男だし、いま流行のサム・ワーシントンとかだったらマッチョすぎていかにもでB級アクションになってしまう。あのライアンの微妙な雰囲気が良いのですなあ。100分という長さも、あーもっとこの人を見たいのに!とハンカチの端を噛み締めたくなる調度良さ。(多分今だけ限定の)myライアンブームが続きそうな悪寒。
ちなみにこちらもキャリー・マリガン出演ということで観に行こうとしてた「SHAME」、券を買う時の恥ずかしさを思うと見送ることに。大体この手の映画ってハズレが多いし、ポスターいっぱいに横たわったおっさんの裸体を見たら、そりゃねえべな・・・(悲)という感じでした。
by bigblue909 | 2012-04-30 15:23 | 映画
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ビッグブルーの本気な無駄話。


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