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イルカが愛を確かめにくる、青い海の底の日常生活

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2013年6月劇場鑑賞映画

映画ミニコラム⑦
デフレデフレと言われるけど、この20年全く変わらないものがある。そう、映画館の料金。このまえ年に数回しか映画館に行かない人が「○○を観に行きたいけど、¥1,800出して行くのがねえ」と渋っているのを聞いてハッとした。私のような年に数十回クラスの人達はきっと、大抵の映画館の会員になっているので、出しても¥1,500ぐらいではないだろうか。映画館によっては¥1,300とか、レディースデイやメンズデイ、映画の日やレイトショー割引とか。ポイント制の所は5本観ると1本無料とか。
とにかくありとあらゆる手を使って少しでも安く観るわけだけど、神戸に一館だけ会員制を採用してない所があり、観たい映画がここでしかやってない時が困る。なるべくレディスデイ、ダメなら前売り券、どちらもダメだった時だけ不承不承¥1,800を出すんだけど、確かに数百円しか違わないのにすごく高く感じる。しかもこういう時に限ってつまらなかったりして、空しさ2倍になったり(去年の「ロック・オブ・エイジス」がそうだった)。
何かで読んだけど、そういう割引なども含め、今の料金制度での平均だと1人1本辺り¥1,200なんだって。だったらそんな面倒な会員制とか、変な特典グッズをつけた前売り券とかやめて、一律¥1,200にすれば良いのにと思う。だってああいうのだってかなりの経費がかかってるんだし。でもそれだと小さな劇場ではやっていけないんだろうか。いや、¥1,200なら観に行こうという人が増えるだろうから同じなはず。なんで映画だけバブル料金のままなのか?と思うと本当におかしい。

華麗なるギャツビー ★★★★
2013年6月劇場鑑賞映画_a0031041_15324871.jpgフッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」は、村上春樹がエッセイで「人生の書」として何度もあげていて読んだ。同じ経由で読んだ人は結構いるのではないだろうか。その後春樹さん本人が訳したものも読んだし→(過去blogでの感想)、最初に読んだ時の野崎孝氏訳「こうしてぼくたちは、絶えず過去へ過去へと運び去られながらも、流れにさからう舟のように、力のかぎり漕ぎ進んでいく。」の一文が好きで、今でもいろんなところで引用している。けど、本の感想でも書いたけど、話自体は決して好きじゃないんだよな。ギャツビーの憧れた世界が薄っぺらすぎて。それにギャツビーがディカプリオって?!とも思ったし。私の中ではキャラウェイを演じたトビー・マグワイアの方こそまさしくギャツビーのイメージだったんだけど。
ところがどっこい、いざ映画を観てみたら、これが意外と面白い。「ギャツビーが憧れた世界」が、あんなことになっているとは! あれはまさしくバブル期の日本では? お立ち台でフリフリするけばけばしい映像に口あんぐり、しかもギャツビーの、いやデカプ様の登場シーンの笑顔には、家だったら爆笑間違いなしだったけど映画館なのでできず、しばらく肩を震わせて笑ってしまった。でもデカプもトビーも見た目年齢が若いので、「加齢なるギャツビー」になってなくてホッとしたw
そしてそしてやっぱり! デイジー役のキャリー・マリガンがあぁぁぁ! なんて愛らしいのでしょう。声もセクスィーだし。本を読んだ時はなんでこんなク○アマを好きになれるんだと思ったものだけど、許したね、一気に許した。そりゃ好きになるって。隣りにいるジョーダン役のクールビューティも、新人さんみたいだけどすごく素敵だった。二人とも違うタイプで良さを引き出しあってて。そしてこれも出た! デカプのキレ芸がw 一本で一回は、みたいなお約束になってきていて、さすがだわあと妙な感心をしてしまった。
でも、このお話自体は平坦なんだけど、本を読んで薄っぺらだと思った世界にギャツビーが憧れてしまったその哀愁とか悲哀なんかが「そこはかと」流れるのが売りだったと思うんだけど、バズ・ラーマンのギラギラとした世界には、しょうがないけど希薄。だけどそんなのは気にもせず、自分の見せたい映像をしっかり作りやりきったのが逆にすごい。4月に観た「アンナ・カレーニナ」もそうだけど、そういう映画を最近とことん楽しんでしまう。
だけど原作があるものが陥りやすいのは、ナレーションで他人の心情までベラベラと語ってしまうところで。それをいかにやらないかにかかっていると思うけど、キャラウェイはしゃべりすぎた。そこを役者の表情と映像で表すのが映画なのに。でもまあ、ロバート・レッドフォード版は観たか観なかったか、観たとしても全く覚えてないけど、ラーマン印の「デカプを使ってこんなんしてみました映画」として楽しむには十分だと思う。
それにしてもデイジーが頭に巻いたターバンが可愛くて、帰りにあんなのないだろうかと探してしまったわ。衣装もすごく良かったよねえ。



イノセント・ガーデン ★★★☆
2013年6月劇場鑑賞映画_a0031041_225545.jpgこちらも先日の王家衛に引き続き、新作は必ず観たいパク・チャヌク監督のハリウッド進出映画。と期待してみたものの、これまた・・・うまいよ、うまいけど、やっぱりフツーの感じになってるんだよなあ。
他人が書いた脚本を与えられて撮ったようだけど、うーん、それって個性は何割引かになるわけで。まあそれが外国で撮るという別視点の面白さでもあると思うけど、やっぱり今まで韓国という国での臓器売買とか、宗教観とか・・・そういう背景があってこその面白さだったので、バックグラウンドを欠いて映画を撮るって、やっぱりうまく重ならないものなんだなと思う。
ねたばれ→父親が娘の中に育っているかもしれない狂気と暴力性へのガス抜きのために狩猟を教えるけど、結局人を殺すまでのエチュードになってしまった・・・という皮肉。冒頭でテニスボール(?だったと思う)をたくさん落とす黄色が弾ける様や、靴を並べる絵面の美しさにハッとする。そして毎年毎年同じ形のスクールシューズを履いて来たのに、性への目覚めと共にハイヒールに足を入れる儀式は、精神的処女喪失とも言えるわけで。同級生に突き刺した鉛筆を削る時に血の色がめくれる様は、傷口を見せられるよりなんだかゾッとして、そういうとこホントうまいと思う。
だけど娘のインディアのピアノ連弾シーンの官能や複雑さに比べ、ニコール・キッドマン演じる母親が、それこそあっさり寝返りすぎ(?)たり、昨日今日会ったような男を娘に取られて罵ったりとか、なんだか妙に薄っぺらかったりする。←ねたばれ終わり
ストーカーという安易なネーミングなども含め、なんだか安っぽいハリウッドサスペンスみたいな面がチラチラ顔を出してしまうきらいはあったかな。
そしてこちらが本命! ポン・ジュノ監督「スノーピアサー」が日本では秋に公開らしい。韓国の字幕入り予告版を観たら、最後に「雪国列車」と出てきて笑っちゃった。きのこの名前みたいですんごいダサいw 日本では「スノーピアサー」で行くみたいね。これも監督が初めて外国で撮ったものなので不安はあるものの、ソン・ガンホ様も出てるし楽しみだなあ。
今年の映画ではまだ「千年の愉楽」でしか星5個が出てない。そろそろ私のハートにメガヒットな映画を観たいのですが・・・。
by bigblue909 | 2013-06-24 15:32 | 映画
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ビッグブルーの本気な無駄話。


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