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音楽で振り返る映画② 「地獄の黙示録 特別完全版」

音楽で振り返る映画② 「地獄の黙示録 特別完全版」_a0031041_938335.jpgこの映画は10数年前にビデオで観て、2001年の特別完全版を映画館で観たんだけど、正直言ってその時はうーむ・・・という感じだったんですよね。だけど時間が経つにつれざわざわと心が騒ぐ映画ってあって、これもそんな1本です。WOWOWやBSで放送する度に観てしまうし、DVDにも録画して。今では戦争映画では良作に挙げたい数本の中の1本。

サントラ曲名はこちら
なんと言っても、この映画の良さのひとつは音楽の使い方。冒頭のプロペラ音から徐々にDoorsの「The END」に変わる部分から引きこまれてしまうし、曲の後半のアジアとエスニックを混ぜたような不思議な音感を、クライマックスでのカーツ大佐の蹂躙シーンに使ってるのも本当にうまい。
そしてヘリコプターの機上から、逃げ惑うベトナム人を楽しげに撃つシーンで流れる「ワルキューレの騎行」は、背筋が寒くなるような映像とは裏腹に、あの音楽が流れるだけで「すごくカッコ良いことをしている」と錯覚させてしまう、ベトナム戦争の兵士の恐ろしさも見事に表している。

この映画のいくつかの印象的なシーンのひとつ、プレイメイトの足の間から、歓声に湧きあがる兵士たちを映し出す場面で流れる「Suzie Q」も良い。けどこのシーン、プレイメイト役の女の子たちの振り付けがワンパターンで、ちゃんと振り付け指導してあげてよ! と観る度に思ってしまうんだけど。あと、プレイメイトが手を振って帰るヘリコプターにぶら下がって落ちる、アホ丸出しの兵士も可笑しくて毎回笑ってしまいます。

カーマイン・コッポラによるスコアは、戦争映画っていうかどちらかというとホラー映画っぽいんだけど、陰々鬱々とした、じっとりと湿った亜熱帯の空気を感じさせて良い。そう、この映画はストーリーが、とかではなく、感覚で感じるタイプの映画だ。そして、それを一役大いに担ってるのが音楽なのだ。
こうして書いているだけでも、ジャングルを流れる川にボートを浮かべて、心だけ一緒に旅してしまう自分がいる。戦争という狂気の中で。
by bigblue909 | 2006-09-28 09:13 | 映画
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ビッグブルーの本気な無駄話。


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