イルカが愛を確かめにくる、青い海の底の日常生活

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「鉈切り丸」 オリックス劇場

a0031041_21245648.jpg今回も森田剛主演に豪華キャストということで、チケットサイトにて良席をらんらんと狙っておりました。つつがなくジャニ余剰席ゲット。毎度毎度ありがとうございます。
しかしながら、いのうえひでのり演出のシェイクスピア、「シレンとラギ」以来、二度と行くことはないかもと思っていた新感線とは違う! 別物なんだ! と自分に言い聞かせつつ。比較するものがシレラギしかないのでエラそうなことは言えないけど、あそこまでのドタバタギャグがなかったのでホッとした。まあ今回はお笑い担当が生瀬さんと山内圭哉氏だったので可笑しかったわけで。でもああいう笑いが要るか要らないかで言ったらやはり「要らない」と思う。一部、なんの脈絡もなくカエルの被り物をして出てきた人がいて、忘年会ネタみたいのをする必要があるのか全くわからないし、忘年会でやった一般人のおっさんだって少しウケた後は「んで? その後どうすんの? その格好で飲むの?」という寒い反応をされる。一部のファンが被り物でたー!と喜ぶ以外は、はあ?としか思えないし、私が行った日も客席は静まり返っていた。ああいう低レベルの笑いを挟まなければ良いのにと私は思う。

物語は鎌倉時代、源頼朝と北条政子、義経、そして歴史上出生不明で源家の六男とされている範頼を森田剛が主演として演じているんだけど、「平義経」で平家を演じていたイメージが強くて、始まった時、は? よりとも? げんじ? 何言ってるの? と一人混乱していたw しかも舞台では、「金閣寺」でどもり→「祈りと怪物」でびっこ→「鉈切り丸」でびっこにせむしと、なかなか一筋縄ではいかない役ばかり。しかしながらやはりうまい。なぜ舞台ではあんなに光り輝くのかわからない。
そして源頼朝が生瀬さん、こちらはさすがの安定感。「祈りと怪物」では悪役で、シリアスな演技が新鮮だったけど、情けない頼朝の役をコミカルに演じていた。おふざけするといつもTVで見るのと(特にサラリーマンNEOと)同じ感じだったかな。
すっごく綺麗で存在感があったのが、若村麻由美さん! この人は「白い巨塔」で少し頭の軽そうな、だけど華やかな財前の妻役のイメージが強かったんだけど、これまた気の強い北条政子役を、時にはコミカルに時には迫力たっぷりに演じていた。長い髪と着物をわさっと振り回しながら見えを切るのがすごくカッコ良くて、政子が出てくる度にわくわくしたわあ。でもパンフで練習風景の写真を見ると、もちろん綺麗なんだけど全然違って素朴な感じ。化粧であそこまで華やかになるんだな。女優さんて感じだ。
巴御前役が成海璃子、舞台初挑戦だったみたい。演技は悪くないけど声が・・・鼻詰まってるというかなんというか。まあ、これは日本の若い女優さんのほとんどがそうだけど。前に何かで読んだけど、アメリカの女性は低い声で話すのが「セクシーだから」、日本の女性は甲高い鼻にかかった声が「可愛いから」、そういう発声になるらしい。今回は勇ましい役だったけど、もし次に舞台に出るならよく通る発声の仕方を覚えた方が良いのではないかと思う。
他にも有名な俳優さんがたくさん出てたんだけど、内容的には(良い意味で)大仰な殺陣や台詞、決めポーズに見え切りとか、そういうのがいのうえ歌舞伎の魅力なのかなと。そこはすごく納得なので、しつこいけど笑えない笑いをはさむのなら、こういうとこをもっと魅せれば良いのにと思う。
お話的にはシェイクスピアが下敷きなのでいつものアレという感じだけど、この源氏の辺りは日本史でも面白い時代なので、つまらなくなるはずがあるかと。3時間堪能しました。
んでカーテンコールの時にライトがあたって初めて気づいたけど、上の方の御簾の中で、パーカッションが生演奏だったのね! 今回は会場が広くて、音は全部マイクを通してたのでセリフも全体的に聴きづらくもったいないと思ったけど、生演奏だったらぜひとも音響通さないで聴きたかったな。カッコ良かったもの。音楽担当は岩代太郎さんという方で、パンフのプロフィールを見てると「殺人の追憶」なんてのもあって面白い。そうだな、あの和太鼓みたいなのの絶妙な音の入れ方、怖かったもんなあ。

それにしても、今回私はかなり前の方の上手側(右)端だったんだけど、真ん中で決めポーズをとられると綺麗に観えなくて、しかも下手側でばかり俳優が立ち止まって演技することが多く、カメラで撮影する場合のことなどもあるんだろうか? もうちょっと上手側の客のお楽しみも考慮してほしかった気も。
けどしつこいカーテンコールの最後に森田剛が一人で出てきて私達の目の前でお辞儀をしたんだけど、今回行儀が良かった後ろの席のジャニファンが、堪えきれず(?)「剛くーーーん!」と叫び喜んでたのに、後ろを振り向いて良かったねえと微笑むぐらいには私も大人になったw いやいや、でもファンは嬉しいでしょうね。
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by bigblue909 | 2013-10-26 21:25 | エンタメ

「祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹 蜷川バージョン」 シアターBRAVA!

a0031041_2240120.jpg結局、チケット売買サイトでKERAバージョンの時とほぼ同じ席を半額で手に入れるチャンスがあり、むしろ観ない方がもったいないとばかりに行くことにした。だって同じ脚本での演出対決なんて企画、そうそう観れないもの。「奇跡の人」マヤバージョンの始まりです。「なんてことはない平凡な子なのにこの子の演技に引きずられる。イヤな相手だわ・・・」by姫川歌子
届いたチケットは○ャニ事務所経由で取ったものらしく、「金閣寺」の時もそうだったけど、○ャニファンて違う公演日をたくさん取るのはともかく、同日で何席も取るみたいなんだけどなんでなんだろ? まあ、そのおかげでこうやって観れるからありがたいけど。謎。
というわけで、今回は仕事帰りでもなかったし、次の日も休みだしという万全の日を取ったので、気持ちも体も余裕がある状態で観れた。以下、項目ごとにKERA版と比較しながら感想を書こうと思う。ちなみにKERAバージョンの感想は→こちら

◎演出対決◎
事前にネットの感想で「コロスがラップ」というのは読んでいたので驚かなかったんだけど、聞き取れなかったらと気をきかせたのか、脇に字幕が出て。それはまだしも場面設定のト書きが出るのがすごく鬱陶しかった。日本語でお芝居を観ることのメリットは字幕を読まなくて済むことなのに、あれはないんじゃないかと。こっちは洋画で字幕読むのが日常的になってるから、せめてお芝居ぐらいは解放されたいのに・・・。
セットはKERA版に比べると至ってシンプル、蜷川さん演出の舞台を観るのは6年ぶりだったので、え、こんなにシンプルだったっけ?と思った。舞台空間いっぱいにゴテゴテと町を作り出していたKERA版と比べると見劣りするほどなんだけど、それでも雨を降らせたり、いろいろ頑張っていたと思う。演出的にすごく良かったのは、二幕が終わる時に蝶々を飛ばしたところ。あ、COLDPLAY?!という感じw
音楽はKERA版を絶賛したけど、蜷川版はそのKERAの昔の曲を使っていて、ギャグ? 笑うとこ? なんだかなと思うけど、まあ、これはね。元々のスキルの差があるししょうがないね。
そしてラストは東京のコクーンだとオープンセットで渋谷の雑踏に消えていく、という感じで終わったらしいけど、大阪でもそんなにできたら良かったでしょうね。教会の前に蹲って終わったKERA版と、闇に向かって歩いて行った蜷川版、私は後者の方が断然良かった。

◎演技対決◎
これもねえ。観客の大半はKERAバージョンも観てるだろうから、後発組はホント大変だと思う。どうやっても前に観た方が基準になってしまうもの。KERA版の方が役に合ってた、というのがネットでの感想でも多い。私も全体的にそうなんだけど、蜷川版の方が良かったというのを書くと、やっぱり森田剛。これは断トツでしょ。蜷川版公演開始の頃、しきりと「森田2ページの長セリフ」と報道されてて、小出君の時そんなのあったっけ?と思ったんだけど、これは脚本のどこを切り取るかで、蜷川さんはここを重要視した、ってことなんだろうね。その長セリフ、まさに熱演という感じ。「金閣寺」を彷彿とさせた。今後の森田の出演作は全部観ても良いかもと思うぐらい、この人の演技は好きだな。
で、そのトビーアスと対照的なパブロ役の満島真之介も息があってて良かった。ちと顔が鬱陶しいんだけどw こちらのコンビは仲良し度アップしてて良かったな。
反対にKERA版の方が特筆して良かったというのは、やっぱりドン・ガラスの生瀬さん。勝村正信さんは元気が出るTV時代から好きだけど、これは、うーん、言っちゃ悪いけど雲泥の差だったと思う。なんであんなわかりやすい悪役みたいなしゃべり方しちゃったんだろ。普通にしゃべれば良かったのに。そしてパキオテ! これは大倉さんが出てくるだけで可笑しかったのが焼きついてるから、ヒジョーに不利だったのでは。
女性陣は全体的に、これを指摘するのもなんだけど年齢が高くて・・・原田美枝子さんは本当に素敵な人だと思うし、中嶋朋子さんも良い女優だと思うけど、久世・緒川・安倍が怖いもの知らずでキャピキャピと銃をぶっ放すシーンを思い出すに、どうしてもトウが立った感じで・・・。レティーシャも夏帆の若々しい可憐さがまぶしかったし。
グンナル司祭の西岡徳馬・古谷一行だけは、役者の格・カラーが互角で、どっちがどっちで入れ替えてもしっくりいって笑った。
そんでー! 今回そもそも観に行く発端となった染谷将太くん! 事前にヤン役だと知ってたからわかったものの、金髪のヅラ&眉毛で人相変わって、声まで変えちゃって別人のよう。肉眼でも見えるものの持って行ったオペラグラスで凝視するも、ホントに? ホントに?!と何度も目を疑った。私の隣の席の女性も染谷くん目当てだったらしく、出てくると同じタイミングでオペラグラスに噛り付いて二人で日本野鳥の会状態。
でも染谷くん、むむむ・・・あんまり舞台向いてないんじゃないかなあ。クライマックスの呪文シーンで、あ、だからあんな話し方してたのね、と繋がったものの、流れ者の悪さは出てても女性を虜にする色気は出てなかった。怪演と言っても良いようなとこは染谷くんらしかったから、初舞台だしもうちょっと長い目で見てみるよ、うん。

◎総評◎
なーんて、いろいろ書いたけど。確かに細かいところを比較すればKERA版の方がいちいち優れていると思う。だってこれはKERAがイメージして書いた世界だから。だけど蜷川版、私はニッコニコ笑顔で立ち上がって拍手してしまった。KERA版の時は疲労感で立つ気になんか全くなれなかったのに。仕事の後かそうじゃないかなんてことは関係ないと思う。これが蜷川マジックというものなの? 怖いw 森田ファンがいたというのも大きいけど、一人も立たなかったKERA版と、なぜだかみんな立ちあがった蜷川版、終わった時の達成感というかそういうものが思い切り出てたんじゃないかなと思う。少なくとも私はそう。
結局、町の成り立ちや細部にこだわりつつ、あくまで「ウィルヴィルという町」を主役に遠くから引いて描いたKERA、反対に漠然とした町ながらも「人間そのもの」にクローズアップした蜷川、という感じなのではないかな。だからもともとファンタジー苦手だし、町を俯瞰しても面白くない私には、KERA版はあんなに長く退屈なものだったのだろう。どちらも一長一短だけど、比較しながら観る、というのは批評好きの私には本当に面白い体験だった。
そんで役から抜け出て素になってたカーテンコールの染谷くんが可愛すぎて、観に来て良かったと心底思ったのであった。

最近は出先でfacebookを見るなんてこともなくなってたんだけど、休憩時間にたまたま見たFBで友達が同じ場所にいることを知り、「私もいる!」と書き込みして大阪駅まで一緒に帰ることに。4時間超の大作じゃなければ一杯飲んで・・・なんてこともできたんだろうけど。その子も両作品観ていたので感想を言い合い、演技に関しては全く同じ意見で、でもKERA版の方が良かったみたい。そして去年「金閣寺」でも偶然同じ日に観た子なので、やっぱ森田はすごいね、という意見も一致。
そしてそのFBによると、高岡蒼祐も同じ日に観劇したらしい(本人投稿情報)。あんな女性だらけのとこにいたら絶対目立つはずなんだけど。暗くなってから入場したり、灯りが点く前に走って出たりする人って、もしかしてこの手の芸能人だったりするんだろうか。なんにしても、森田との友情はまだ続いてるのね。「蜷川さんの舞台観劇。 演じたくなる衝動に駆られるし、嫉妬をするから観たくないが、やっぱりあの独特の雰囲気が好きだ。」使ってやって、誰か使ってやって T-T
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by bigblue909 | 2013-02-17 22:48 | エンタメ

「祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹 KERAバージョン」 シアターBRAVA!

a0031041_1750470.jpg今年のエンタメ一発目は、映画ではなくお芝居で幕があけた。「祈りと怪物」のKERAバージョン。一ヵ月後の蜷川バージョンとの演出対決が話題になっているもので、恒例の「ガラスの仮面」で例えると、「奇跡の人」マヤと亜由美のWキャストという感じ。「ママは私には一度もキスしなかった・・・一度も!」by姫川亜由美
本当は蜷川版の染谷将太が見たくて、だったらKERAの方も観てみようかとチケットを取ったんだけど、その後上演時間が4時間強ということが発覚し、少々取ったことを後悔し始めた。18時半開演で、終わるのは22時40分、家に着くのは0時ぐらい。幸運にも次の日が休みだったけど、やっぱり仕事を終えてからこれはキツかった。

いろんな人の感想を検索して読むも、悪いものが全然出てこない。そうなのか。私は悪くはなかったけど、やっぱりあの長さが・・・最後の方はもうお尻が痛くて痛くて、これで終わりか、はあ、良かったねえ、・・・っておい!というベタなツッコミを心の中で何度もするはめに。んもーしつこいんだもの、群像劇だけに締めくくりが何回もあって。大阪初日に観に行ったけど、スタンディング・オベーションをしてる人は一人もなく、疲れの方が大きかったのではと想像。「たくさんの人を公平に描く」という主旨はわかるけど、私には冗長に感じる部分も多かったなあ。まあ、「ロバート・アルトマンの‘ショート・カッツ’をイメージ」と言ってるので、この手のものが面白くない私には当然の反応かも?
パンフでもナチスやマフィア、カラマーゾフの兄弟や合唱隊など、いろんな要素が指摘されてるけど、私が一番えええ?!と思ったのが、パブロとレティーシャの最期を演じずに、語りで終わらせてしまったところだ。報告者と言ってギリシャ悲劇の手法らしいけど、そんなの知らんがな。なんで4時間も使って肝心なとこ見せんねん。てビックリ。一番の見せ所だと思うんだけど?

とは言っても初のKERA、空間に映像を駆使し、同じ建物を幻想的に変える手法や、映画のようにオープニングがあるのも良かったし、なんと言っても音楽! 音楽畑出身だけあってすごく音楽を大切にしてるようで、生演奏だったのよ、これにはもう感激。お芝居ってどうしてもテープの音だから、あれがもう汚くて汚くて・・・。
そして途中で楽隊が舞台に出てきて演奏したんだけど、あ・あれ、たまの「着いたーーー!」の人じゃない?!ってビックリ。そうか、KERA→有頂天→たま→イカすバンド天国!!ってもうエヘラエヘラ笑ってしまって。年齢丸わかりなんだけどw パンフによるとパスカルズというアコースティックオーケストラらしい。これは本当に本当に気に入ってしまい、音楽が鳴り出すと芝居のセリフが全然耳に入らなくなり困った。これはちゃんと聴いてみたい。まずはレンタル屋を確認してみよう。

また、演技の面では(主演というものがいるとすれば)主演の生瀬勝久、この人を生で見るのは初めてだったけどすごく良かった。他の出演者よりも頭ひとつ突き抜けてうまい。声もよく通るし・・・やっぱり舞台俳優で声が良くて通るというのは最大かつ必携の武器。トビーアス役の小出恵介は、「ルーキーズ」で高岡蒼佑と共に一時期マイブームだったけど、小出くんの方はすぐ冷めちゃったw 安倍なつみはテレビとか含めて演技するとこを初めて見たけど、意外にも(?)うまくてビックリ。他にも私が知ってただけでも大倉孝二、緒川たまき、夏帆、川西惇、池田成士、西岡徳馬などなど超豪華。
蜷川版はどうなるのか、誰がどの役かと想像しながら観てたんだけど、生瀬=勝村正信、小出=森田剛は大方予想通りだとして、染谷くんはパブロかな? 白痴のパキオテだったら面白いかも? でも大倉さんのパキオテがかなり良かったから比べられるかも・・・とか考えるのも楽しかったけど、東京で蜷川バージョンが上演開始となり、やっと配役解禁になって読んでて面白い。今のところKERAバージョンの方が評判が良いみたい。まあこれはKERA本人がイメージして脚本を書き、先に上演してるというメリットも含めて当然だと思うけど。

でもそんな想像する楽しみも、4時間強という肉体的苦痛には勝てず、観終えた時は「もう無理。蜷川版なんて絶対観ない」と思った。けどやっぱり、同じ脚本を違う演出で、1ヶ月遅れで観れるという試みにはすごーく興味があるのよねえ。まあ今のところ、チケットサイトのやりとりも少なくて取れる確率自体が少ないけど、1ヶ月行くかどうか悩んでおこうと思う。
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by bigblue909 | 2013-01-16 17:55 | エンタメ

怖面白い、「こどもの一生」 シアタードラマシティ

a0031041_21401640.jpgいやーーーー来たよ。きたきた。前回「ウィズ」を観た時にもらったチラシの中にこの「こどもの一生」があって、面白そうじゃない!と思ったけどすでにチケットは発売開始後、これじゃ良い席は無理だなと諦めたんだけど、チケット譲渡サイトを細かくチェックし良席ゲット、期待満々で観に行った11/28夜公演。やっぱり! チラシの写真の怪しげな感じだけで絶対私のツボに嵌るに違いないと思ったけど、本当に面白かった。これこれ、こういう現代劇が観たかったんだ。
今回演出のG2はお初、と思ったんだけど、プロフィールを見てたら「人間風車」で前にも観てたことを知った。とは言ってもあれは私の観劇デビュー作品、演出も何も全くわかってなかった(まあそれは今もか)頃だしね。谷原章介、吉田鋼太郎、中越典子の3人も見るのは2回目。

とある隔離された島で、精神療法が行われる話なんだけど、ダンスを取り入れ、椅子を使って輪になったり縦や横や斜めという動きも楽しいし、とにかく可笑しい。アハハウフフと笑ってて、でも、でも、可笑しいんだけどこれだけで良いの?・・・と思い始めた辺り、急に笑顔が凍りつく。チラシの「あなたは笑顔のままで凍りつく」という文句そのままに。
映画の感想で何度か「人を泣かそうと思ったら、それと同じくらい笑わせること」と書いたことがあるけど、これはその恐怖バージョンで、笑った反動そのまま怖い。なんだかくだらないなぁとヘラヘラ笑っていたことも全部、複線になっている。うまい。これはうまいぞ。
吉田鋼太郎は嫌味だけど憎めない人という感じだったけど、これは吉田氏本人のキャラが滲み出たのか、過去のこの役は本当に憎たらしかったらしい。そしたらこの話し自体全然違う印象になった可能性もあるけど、とにかくおっさんが子供返りしてはしゃぐ様子には笑ったw
ねたばれ→でもこのお芝居のテーマのひとつに、弱い者が結束して剥きだす残虐さというのがあると思うんだけど、吉田氏のキャラが可愛かっただけに苛められる場面では観てて憐れみがおこり、「本当に憎たらし」かったら観客も、やれやれ、ざまあみろ!という気分になるわけで、そう思うとやっぱりキャスティング的に失敗だったかも?
山内圭哉の山田のおじさんの「よろしいですかあ」は可笑しさ>怖さの比率がどんどんひっくり返っていく過程が本当に怖かった。いろんな分析ができる話だけど、残虐さの他にバーチャルリアリティというテーマもあり。私達の記憶も言ってみればバーチャルリアリティとなんら変わりなく、ひとつの物事を見る人間の数だけ解釈があり、また年月が経つ過程で変形していき、時にはなかったことまであったかのように記憶に刻まれる。誰かには何の記憶も残っていないことが、誰かには恨みの種になってどんどん増幅していく・・・とか、そういう日常的な怖さも、山田さんは体現してるんだよなと思う。←ねたばれ終わり

主演の谷原章介は「6年ぶりのお芝居」とあちこちで言ってて、はっ、それって「あわれ彼女は娼婦」だよね、観たよ・・・と、6年も経ったことに愕然とする。そりゃ歳もとるわな、、、でも章介さん、あの時は生で見るとひーーーまぶちい、フェロモン出しすぎぃというぐらいキラキラなセクスィー部長のようだったけど、今回は役のせいもあるけど良い感じに力が抜けたというか、相変わらずカッコ良いけど円熟したというか、男の歳のとり方の見本だ。
そんで戸次重幸という人を私は全然知らなくて、事前にネットで検索したら異様に人気があり、なんか大泉洋がらみの人? この人がセリフを言ってる途中で私の後方の女性が耳を劈くような笑い声をあげて、戸次氏本人もぶはって笑って。え、なに?って急に現実に引き戻され一瞬興ざめしたんだけど、カーテンコールで「噛んですみません!」とあやまってて、だからだったのかとやっとわかった。
でもさ、噛むのは全然しょうがないことなのに、それを観客が面白がってフューチャーして、しかも役者本人まで乗っかって笑うってどうなの? 吉田氏が「中越さんが聞いたこともないような声で裏で怒鳴ってた」と言ってた。エラい中越! 多分この人は私と同じ考えだよね? お芝居を観てる途中で現実に引き戻すようなことを役者がしないでほしい。でもネットでいろんな感想を読んでると、この人目当てで来てるファンのマナーついて批判する人が多く、これって永遠のテーマなのかな。私は何にも知らずに観て、それでも違和感ありありだったからなんか批判してる人の気持ちわかるわ。
あと鈴木砂羽も初めて見たけどこの人いいな。ちょっと注目してみようと思う。

「ウィズ ~オズの魔法使い」はいまや違う意味で大注目になったけど、こんなにすぐあの時のもやもやを消し去れて嬉しい。なんともお腹いっぱい大満足のお芝居でした。
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by bigblue909 | 2012-12-03 21:46 | エンタメ

「ウィズ ~オズの魔法使い」 梅田芸術劇場

a0031041_214758.jpgいやいやいや、こりゃまたなんとも。やっちゃった。やっちゃったよ。
最初からどうにも微妙な感じで、保険をかけてA席を取ったんだけど、それが正解だったか、それともダメさに拍車をかけたか。そもそもいまだに「オズの魔法使い」の話を知らないという時点で、私がこの手のものにどれだけ興味がないかというのが証明できるけど、宮本亜門さんの演出だから観たいなというのだけで行ってみたのだ。
A席は3階で、目の前に座高の高い男性が座っているので舞台のちょうど真ん中が全然見えない。この時点でテンションがっくり下がったんだけど、ミュージカルのあのテープの音楽・・・あれが、オペラの生演奏に慣れてるとどうしても気になる。しかも梅田芸術劇場は広いので、歌までマイクを通していて、これもすごく音が汚い。ギャグもいちいち寒い。
曲もストーリーも初めてなんだけど、子供向けという印象は拭いきれず、全く身が入らず。でもね・・・やっぱり何が一番ダメってあれが。ドロシー役が○KBじゃない? 今回このミュージカルがこんなに騒がれたのも彼女のおかげなんだろうけど、本人がどうこうじゃなくて、もう思いっきり、○KBのコンサートにうっかり迷い込んでしまった感じなんです。
亜門さんは「はっきり言って○KBのことは全然知らなかった、でも普段ミュージカルを観ない人にも興味を持ってほしかった。また○KBなんてという人も楽しんでくれたらと思った」みたいなことを言ってたけど、やっぱり、どうにも交じり合えず。何度注意アナウンスがあっても前に乗り出して観るし、入り口でもらったチラシが床に散乱してるしで、いつもと全く違う雰囲気。最後のアンコールでの声援は完全にコンサート状態で、早く帰りたいけど真ん中だから出れない・・・と、なんだか本当にいたたまれなかった。

でもまあ褒めるとこも書くとですね。陣内孝則と森公美子はさすがの存在感だったし、特にモリクミさんの歌はここだけプロ中のプロで聴き応えあった。私が一番楽しみにしてたのが小柳ゆきで、10数年前この人が結構好きで、ライブも観に行ったことがある。最近めっきり見なくなったので久しぶりだったけど、最後の最後に大トリ状態で出てきて良かったですわ。ISSAのダンスもさすがだった。って、このぐらいで良いかな?w
とにかく、仕掛けは楽しいんだけど、ずっとディズニーランドのショーを見せられてるかのようで、あ、でもそれって実はすごいことなんだと思うけど、私はそういうのは望んでなかったから。それだったらいっそそれに徹して、ダンサーたちの踊り(ここは夢中で見た)だけ見せてもらった方が私は満足できたかも。そして同じものを見ても、席が良かったらもっと楽しめたかもしれないけど、こればっかりはなんとも言えないね。
ネットを見てると今のところ好意的なコメントばかりなのでアップするのが気が引けるんだけど、私のように感じた人もいるかなあ・・・とにかく今後はまずストーリーありき、出演者先行で客層が決まってしまうものは絶対避けようと思った。頼むよ、亜門さん・・・。

はあ、というわけで。先日WOWOWで野田地図の「THE BEE」の放送があった。たった4ヶ月前に観たものなのに結構忘れてる部分もあって、やっぱりすごい作品。でもテレビで観るといつもの如く、生では笑えた部分が全然面白くない。ブラウン管(ってもう死語だな)を通すのって怖いね。あとアップになるので汗がすっごいw 汗もかかない人は全然かかないんだけど。でも野田秀樹の狂気の表情は、アップで見るとすさまじかった。
終わった後に出演者のトークがあって、好きか嫌いか嫌いか好きか♪ のテーマソングのカーテンコールで、近藤良平さんが「大阪で手拍子してた、あの話を観たあとで普通手拍子する?!」と言ってたので笑ってしまった。してた・・・私もきゃっきゃ叩いた。そうか、、、他ではやってなかったんだ(笑)

とまあ、いまものすごい消化不良状態。「THE BEE」級のきちんとしたもの観たい。というわけで、なるべく早く口直ししようと、チケットサイト物色中。
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by bigblue909 | 2012-10-09 21:47 | エンタメ

大人計画「ふくすけ」 シアターBRAVA!

a0031041_21462991.jpg初の大人計画です。私らがあっさり日曜のマチネを取れたから苦労感がなかったけど、チケット取れなかった人がかなりいたみたい。まあ、超豪華キャストだもんね。
松尾スズキは映画「悪人」みたいな真面目な演技をしてるところをたまに見るぐらい。んで多分本領発揮なのであろうコミカルな面は「イン・ザ・プール」の演技とか、「ユメ十夜」の第六夜の監督・脚本とか、何をやったかは忘れたけど死ぬほど笑った覚えがある。「ユメ十夜」の方は安部サダヲが主役だったので、やっぱり本領発揮だったんだろうな。
そんなわけで笑いに関してはあまり心配してなかったんだけど、始まってしょっぱなから女性性器の放送禁止用語が出てきたので、さすがの関西人も(?)どん引きして静まり返ったんだけど、あまりにも連発するもんだから勢いに押されてだんだんみんな笑い出した。ちなみに私も笑ったw これ、WOWOWとかの有料放送でもオンエアは無理だろうな。

この「ふくすけ」は21年ぶりの再演で、問題作と呼ばれていたらしいけど、見てみればなぜだかすぐわかる。安部サダヲが演じる薬害の奇形児は、頭が大きくて(エレファントマンみたいな形)ふくすけ人形そっくりだから。それをひたすら明るく「生まれてこなくちゃ良かったのに!」とスローガンのように掲げる。問題作と呼ばれないわけがない。・・・けど、私は初めてだからよくわからないけど、大人計画って毎回こういうのみたい?
多部未華子が娼婦の役を演じるんだけど、夜のショーのシーンで本物のストリッパーだったんだろうか、突然上半身裸になって踊った女性二人がいて、ちょっと驚いた。まあ、美乳だったけどw 終始笑いっぱなし、歌も踊りも飛び出す、障害を笑いのネタにする勇気(実は松尾スズキが共感してるだけ?)には感心させられた。
けど→安部サダヲが宗教の教祖となり、大竹しのぶが選挙に立候補した←辺りから、やーな予感はしてたんだけど、やっぱり・・・。これって5月の「シレンとラギ」と骨組みが全く同じじゃない? つまり、古典なんです。古典も良いとこ、コテンコテンです。もう→近親相姦親殺しオチ←はやめない? しかもラストの→皆殺しディナー←も見たことあるよ。斬新なようで、本当に古いの。お芝居を観るようになってから、シェイクスピアものばかり観てたので、もうそういうのはしばらく良い、現代の新しいのが観たいと思って作品を選んでるのに、こうも焼き直しばかり見せられると・・・。
まあ私は所詮映画バカなので、わかってないと言えばわかってないんだろうけど、もし私が作り手だったら、ああいう展開は意地でもしないと思う。設定が型破りだっただけに期待は大きく、だからお決まりの展開に落ちていった時はちょっと興ざめしちゃった。

とは言っても古田新太は「シレンとラギ」の数十倍良かったし(もーシレラギがゼロ標準になっててごめん)、お初の大竹しのぶは「勝・新」で悪口を言われてたわりに二人の息も合ってたと思う。やっぱりうまい。普段あのおっとりした話し方をテレビで見てるから余計に、なんにでもなれる人なんだなと思う。
そして安部サダヲは予想以上だった。まあ映画で見るままと言えばそうなんだけど(笑)、観客を目の前にして笑わせるって相当難しいと思う。実際この舞台の中でも、みんなと同じテンションでやってるのに笑いをとれない人は何をやってもとれないんだよね。でもサダヲは(ってうちの子みたいに言うな)外さない。さすがだ。

チケットを取ったもののどうにも不安だった「ウィズ」、ネットで練習風景映像なども少しずつ出てきて、良さそうなので一安心。私のシフトも、うまい具合に公演時間を避けてたし。
それにしても、佐渡さんが兵庫県立芸術文化センターの芸術監督ゆえに芸文でたくさん公演を見れるように、神奈川芸術劇場の芸術監督の宮本亜門氏は、やっぱりここが拠点で、いろいろイベントをしてるみたいで羨ましい。今月WOWOWで「サロメ」を放送するのでとっても楽しみ。
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by bigblue909 | 2012-09-13 22:14 | エンタメ

野田地図公演「The BEE」 大阪ビジネスパーク円形ホール

a0031041_16255050.jpg5月の二度目の観劇。6年ぶりの野田地図。野田地図の公演は外さず観に行きたいものの、「贋作・罪と罰」を最後に大阪には来なくなってしまった。今回は6畳ぐらいしかないのでは?ぐらい狭い舞台、大道具はなしの公演だからなのか、全国公演のようで。東京まで観に行くのもなんなんで、大阪は毎回来てほしいよ・・・。
で、その狭い舞台に、これまた狭い会場だったので、隅に座ってた人も役者の顔がはっきり見えたと思う。役者は野田秀樹、宮沢りえ、池田成志、近藤良平(サラリーマンNEOの体操の人)の四人芝居。先日の「シレンとラギ」とはまさに正反対の舞台で、あちらが豪華なセットや衣装、照明を駆使したゴテゴテエンターテイメントならば、こちらは紙と紐と小道具をいろんなものに見立てて話しを進めていく。「ガラスの仮面」で言えば、マヤの文化祭での体育館倉庫一人芝居みたいな感じか。ってなんの例えやねん。
もうね、シレンとラギを引き合いにばかりするのも悪いけど、笑いも正反対で知的なんですよ。野田地図の舞台って真剣にやってるのに毎回笑っちゃうんだけど、何をするかって何もしない。何もしないその「間」で笑わせる。引き算の笑いなのね。まっちゃんとかが使う高度なやつね。ってなんの例えやねん。
そんな笑いを挟みつつ、でも話しは残酷で、スローモーションや繰り返しを効果的に使う。ピリピリとした真剣さがある。75分ぐらいの短い舞台なんだけど、大満足だった。素晴らしい。

大抵の芸能人って「テレビで見るより痩せてる」ってことが多いんだけど、宮沢りえは逆で、テレビだとなんだか病的に細いけど、実際はきちんとつくべきところについててスタイル抜群だった。特にバランス的におかしいよね?と思うぐらい長い足は、太ももの部分だけ肉が綺麗についてて芸術もの。顔も雰囲気も妖艶で、私が今まで生で見た女優さんの中では一番綺麗だったなあ。
カーテンコールで張り切ってスタンディングオベーションをしたら私しか立ってなくて、あれ?って冷や汗かいたんだけど、そのおかげで宮沢りえが私にニッコリ笑ってくれて嬉しかった。最後のカーテンコールで他にもちょこちょこ立つ人がいてホッとしたけど、いつも私が立つのどうかな・・・って思う公演は総立ちなんだよね、不思議なことに。世間とズレがあるみたい。

先日書いた「ふくすけ」のチケット無事確保。こうやってアンテナを張り始めると、他にも観たいものがたくさんでてきて、でもチケットを買うために働いてるわけでもあるまいし、選択が難しい。確実に当たり公演を引きたい、と思うよな。
そしてそんな中、EMINEM様まさかの2万円公演発表。スタンドでさえ1万超え。最近こういうのを見ると、歌うだけなのに?ってなんだか悲しくなるんだよね。本来オーディエンスへ伝える者の務めというか、そういうのが完全になくなってるよねえ。
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by bigblue909 | 2012-05-31 16:34 | エンタメ

劇団☆新感線「シレンとラギ」

a0031041_1732314.jpg今まで何度も行きたいと思いつつチケットが外れたりなんだりだった、超人気劇団☆新感線の舞台。今回は大阪公演も期間が長く公演数も多いので、すんなりチケットが取れた。もちろん藤原竜也目当て。他にも永作博美、古田新太という三枚看板に、脇を固めるのは高橋克実、北村有起哉などなど、本当に豪華。だからこそチケットのお値段もとってもゴージャスで(泣)

何気に私、藤原くんも永作も3回目なのね。二人ともやっぱりうまいし、今回衣装がすごく綺麗で何度も衣装替えがあって、いやー本当に目を楽しませてもらった。お話しは→親殺しと近親相姦←というコッテコテの古典だし、→藤原くんが教祖になる←という展開も、なんだか今までも何度も観てきた役どころで、イメージが固まってしまうのはしょうがないものの、やっぱり藤原くんてどうしてもこの手の役が多くて、観に行ってもスッキリと「面白かったー!」と言えるものが少なくて、それがいつもネックなのよねえ・・・。
そしてそういう方向なのを慮ってかこの劇団のお家芸(?)なのか、やたらとギャグシーンを挟むのですよ。私、この手のドタバタが苦手で(汗) ほとんどが下ネタだし、古田新太はWOWOWの「勝新(KATSUARA)」の方がよっぽど面白いよ。私的に笑いって真剣なものから生まれるものだと思ってるんだけど、ギャグの上に真剣を重ねるので、笑いを逃すとその後のドラマも乗れないままになってしまって・・・。まあ、いつもの如く大抵の人はキャッキャ喜んで笑ってたので私のツボの問題なんだけど、毎回あれをやるんだとしたら、私はもう行かないかもなあと、残念ながら思ってしまったな。

そんな残尿感を残しつつ、今月末は野田地図の「THE BEE」のチケットを取ってある。こちらは席も結構良いので楽しみ。そして佐渡さんが映画「ウエストサイド・ストーリー」に合わせてタクトを振る企画、行く気満々だったのに、大阪公演が1日きりだからなのか、東京よりもはるかに高いのを知ってテンションだだ下がり。生身の人間が演じる佐渡さんのオペラより高いなんて。映画に出す金額じゃないなということで、残念ながら見送る方向。
そんでその代わり、シレンとラギを観に行った時にもらったチラシで、松尾スズキの「ふくすけ」というのがあって、こちらに興味津々。古田新太、大竹しのぶ、安部サダヲ、多部未華子という曲者揃い。チケット争奪戦になるかもしれないけどチャレンジしてみる。それにしてもそのWOWOWの「勝新」の中で古田新太が大竹しのぶの悪口を(多分本気で)何回も言ってたのはこれだったのか。大丈夫なのか? そんなこと言って(笑)
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by bigblue909 | 2012-05-07 17:32 | エンタメ

私にも火を点けた! 「金閣寺」梅田芸術劇場

a0031041_1540574.jpg私の中で20年前の振付師の印象の域を出ていなかった宮本亜門の手腕もよく知らなかったし、森田剛主演というのもちょっと疑問だったんです。そんな自分に土下座を課したい。とにかくこの一言、
素晴らしい!!
事前に原作を読んでいたんだけど、話もセリフもほぼ原作どおり。だけど表現方法にはいちいち目を瞠るものがあり、大道具の使い方、場面展開、僧の修行シーンはお得意の(?)ダンスを取り入れた動きも飛び出すし驚きの連続。何より溝口を悩ませ続ける金閣寺の存在を、仏教の偶像的な格好をした人間が演じるのがすごい。お経のような雑音のような声(ホーメイという歌唱法らしい)は神秘的でもあり不快でもあり、そのまま溝口が感じていた音なんだと思う。きっと溝口は僧になるという重圧の一方で罪深さを拭いきれず、金閣寺という存在で戒めるしかなかったんだと思う。それが偶像の発する声が孫悟空の頭についた輪を締め付けるように、会場いっぱいわんわんと鳴り響く様が本当に迫力があって。

でも大阪一日目の木曜日の公演、二階席だというのにオペラグラスを持って行かなかったという痛恨の極み。いつもお芝居は良い席で見てたから、全く頭になかったの(泣) どんな顔でみんな演じてたんだろう、あんなに素晴らしい舞台なのに・・・という気持ちを抑えきれず、オークションで大阪千秋楽のチケットをゲット! ちょうど休みだし、15列目なのに半額ぅぅぅと狂喜。
というわけで行って来ましたよ、今回はオペラグラスも携え、でも全体を見た方が良い場面は頭に入ってるからきちんと使い分けて。森田は思ったよりも老けてたwが、高岡蒼佑、体が不自由ながらカリスマ性を持つ柏木役をうまく演じてた。好きだなあ。やっぱ好きだなあ。二回目でも全然飽きず、再び圧巻の舞台で大満足。「舞台では点いてない火が見えた」と森田は語ったそうだけど、私もちゃんと見えた。メラメラと燃える金閣寺が。
ただ、初日は感じなかったんだけど、千秋楽は思いっきり○ャニ系ファンが多かった。カーテンコールで森田が手を振るとキャー!って言ったり。勝手に森田だからそういうのはないだろうと思ってた(なんでだ)だけに、そして彼が真摯に演技に向き合ってるのがわかっただけに、やっぱりちょっと異様で。○ャニとして芸能界に入ってしまったのって、きっとそんなに幸せじゃないだろうなーと思った。反感覚悟で書くけどさ。だからなのか、この日の観客は九割・・・いや九割五分が女性で、そういうのを予測して男性が足を遠ざけたのだとしたら、本当にもったいないなと思った。

ちなみに一日目、たまたま演劇好きの友達が同じ日のチケットを取ったことを知り、じゃあ終わった後に少し・・・と待ち合わせしてイタリアンバーに行ったんだけど、カウンタで金閣寺のパンフを持った40代ぐらいの男性と隣り合う。最初は「あー! 行ってきたんですか?」と軽く話して終わったんだけど、途中から私達の金閣寺話の輪が広がり、三人で演劇論。とは言っても私はさほど知識はないんだけどw 二人はたくさん観ていて、男性が「松たか子さんは舞台女優として本当にすごい」と言うので、私が「今まで観た中では野田MAPの贋作罪と罰が一番良かった」と言うと、彼は松好きが高じて大阪8公演中6公演観に行ったそうだ。もう桁が違う(笑) 三人で金閣寺を絶賛して、お店閉店&電車の時間ぎりぎりまでしゃべり倒し、じゃあね!と別れた。もう会うこともないだろうけど、大人になるとこうやって人と時間を共有するんだなと、すごく新鮮だった。3杯しか飲んでなかったのに、楽しくて高揚したので酔いが回ったらしく、友達と別れたあと真っ直ぐ歩いてない自分に笑った。
ここんとこ佐渡さんのオペラ以外から遠ざかってて、観たいなと思うお芝居も、シフトを変わってもらう煩わしさの方が勝ってしまってたんだけど、俄然行く気になった。シフトが気になるんだったら、敢えてチケットは取らず、行ける時だけ今回みたく狙った席を安価で落とす方が賢いかも。どうせ最初から行けないものならあきらめもつくしね。
とにかく私、今後宮本亜門は要チェックだな。相方に「蜷川って実はお金かかってるだけかも」と言ったら「言いすぎ」と言われたw しかし亜門さん・・・高岡蒼佑や山本太郎を起用する辺り、あなたも物好きね♪と言ってあげたい(笑)
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by bigblue909 | 2012-01-23 15:40 | エンタメ

オペラ「キャンディード」 in兵庫県立芸術文化センター

a0031041_13303759.jpgそして今年もオペラの夏です。
とは言ってもこの「キャンディード」はオペラというよりオペレッタ、ミュージカル要素の方が強かった。今回は主要キャストが全員外国人だったんだけど、一人だけ、映画好きなら「ああ!」と思う人が出演してた。映画「クィーン」でチャールズ皇太子を演じたアレックス・ジェニングス。終始薄笑いを浮かべた様子が妙に似ていて、観る者の神経を逆なでたあの俳優だ(笑) この人が語り部のうえに何役もこなしほぼ出ずっぱり、演技担当の人なのかと思ったけど、本格的ではないものの歌も何度も披露していた。うん、いいな。この人はいい。

始まりは「題名のない音楽会」でもオープニングで使ってる曲なんだけど、これがいろんな場面で旋律を変えて出てくる。架空の国でのお話・・・となってるものの、舞台はアメリカで、ケネディ大統領夫妻やマリリン・モンローを想像する人がほとんどだと思う。アメリカの物質社会、奔放な生活、乱れた性(?)などの中でキャンディードとクネゴンデは育っていく。
そしてヴォルテール先生が繰り返し最善説を唱える。「この世界はあらゆる可能性の中で最善に造られている」と。戦争も、大地震などの天変地異も、貧しい国の飢餓も、全体を見れば最善を保つための、仕方のない不幸なのだ、それを誰かが担わなくてはならないのだと。

・・・なんてことを書くと小難しい話だとお思いでしょうが、実際は破天荒なストーリーてんこ盛りな上に、笑いあり、ダンスあり、そのうえ現代の政治を皮肉ったパロディありと、全編わくわくモード。各国の元大統領・首相が水着を着て登場し、ブッシュマスクをつけた人が「オバマくんは日焼けしすぎじゃないかね?」なんていうシーンも。
結局は、理想ばかりを追うキャンディードと、物欲にまみれたグネゴンデと、不平ばかりを言っているオールド・レディたちは、長い旅の果てに失望する。「だけどそれも所詮はひとつの物事であるだけさ、なんて達観できない僕らは」のセリフの後で、今までのお祭り騒ぎが嘘だったように、出演者がズラリと並んで、ものすごい声量で歌いだす。
    僕らは純粋でもないし、賢くも良い人でもない
    僕らはできることを一生懸命やるだけ
    家を作って木を刈って
    僕らの畑を耕そう

達観したいけどできない、そんなに賢くも心が綺麗でもない、だからやれることをやるだけ、という歌詞には誰もが身につまされ、思わず涙うるうる。隣で始まる前からコクリコクリ船を漕いだり、上演中ももじもじと動いたりガサガサと飴を舐めたりしてた隣の席のおばさんが、突然しくしく泣き始めたからビックリした(笑)
そんなしんみり&感涙モードの中、ジェニングス氏の大団円の一言、「シツモンアリマスカ?」に一斉に爆笑。もう、ほんっとうに良かった。いつも前の方ど真ん中の席をとる私は、後ろの人達に気を遣ってスタンディングオベーションしにくいんだけど、これには立ち上がって手が痛くなるほど拍手。そして我らが御大佐渡さんも登場し、出演者と客席、手を振り合って幕が下りた。

去年の「カルメン」がイマイチだったのもあり、なんかホントすごく良くって一安心。あんまり暑いんで、芸文に行くとき恒例のショッピングも全くせず、開始5分前に滑り込んで映画でも観るようなモードで挑んだけど、やー満足。やっぱり佐渡さんのこれを観ちゃうと、他のお芝居とか、あんまり手が出なくなってしまうの。またNHKで放送してくれるといいんだけどな。
そして、9月には定期演奏会で佐渡さんの「惑星」があって、大好きな交響曲だけに絶対行くぞ!と思ってたのに、私らしくもなく発売日をすっかり忘れてたのー! 気づいた時は遅し、土日は全て売り切れ、僅かに残った金曜日は、その前の週に韓国旅行に行くので休みなんか絶対とれないのであきらめた。人気の曲だからしょうがないけど、オークションゲットするか、むむ、それもアリだな。
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by bigblue909 | 2010-07-31 15:16 | エンタメ
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ビッグブルーの本気な無駄話。


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