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イルカが愛を確かめにくる、青い海の底の日常生活

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2013年5月劇場鑑賞映画

映画ミニコラム⑥
前の会社で働いていた時、「BBさんは映画好きらしい」という噂が広まり、「最近何を観ました?」と訊かれることも多かったんだけど、「自分の息子を殺した少年に大工仕事を教える話(息子のまなざし)」とか、「監禁された小部屋から抜け出られるかという話(SAW)」とか、「コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにした話(エレファント)」とか物騒なことを毎回答えてたら、すごく嫌な顔をされてそのうち訊かれなくなってしまったことがあるw まあ、その頃はこの手の映画を観ることも多かったけど、劇場に行く回数も今の倍ぐらいだったし、普通の映画も観てたから割合としては同じで、たまたま訊かれた時に直近で観てたのがそれだったというだけなんだけど。
でも最近、ようやく私も「わ、なんでこんな辛いことをわざわざ観なくてはならないの?」と思うことが増えてきた。どうせなら綺麗なものが見たいという。やっと人間になれたよ!by妖怪人間 いや、「追い詰められた人間はどうなるのか」というのに興味があっただけなんだけど。
しかも不思議なことに、どーーーーしてもダメなものがひとつ出来た。それはゾンビもの。まあ、私が好きなのは精神的に追い詰められていくものだったので、視覚的に追い詰められていくゾンビ映画は元々好んでは観なかったものの、前は普通に観てたはず。だけどここ3年ぐらいだろうか、ゾンビものの宣伝写真すら見るのもイヤになってしまった。ドラマ情報を見ると目に入る「ウォーキング・デッド」とかも、本当に嫌悪感しか煽らなくて、なんであんなのわざわざ毎週観にゃならんのだ?と思う。
思いつくきっかけはないし、いつの間にか嫌いになってたけど、多分あの生気のない目が一番ダメなんだと思う。生身の人間は精神的にも肉体的にも、みんな苦しむもの・・・。

グランド・マスター ★★★
2013年5月劇場鑑賞映画_a0031041_2282320.jpg王家衛(という漢字がなんかカッコ良いんだよな)の新作だからと、意気揚々と初日の朝一の回を観に行ったんだけどこれは・・・。ファンじゃなかったら星3個もちょっと厳しい。ひょっとしたらカーウァイの映画の中では一番映画らしいかもしれないけど、だからこそ良いところがごっそりなくなって、普通の映画になってる。
武侠映画といえば、正統派はそれこそずばり「イップ・マン 葉問」だろうし、最近では「捜査官X」の金田一っぽい組合せも良かった。「画皮」の胡散臭い感じも伝統的な香港映画で面白かった(偶然だけど3本ともドニー・イェンが出演)。宮廷ものと組合せるなら「女帝[エンペラー]」とか、とにかく武侠映画はプラスの部分で味を出していくもので。
だから前出の「イップ・マン」と区別するのならば、バイオグラフィの部分を強調すれば良いんだろうけど中途半端だし、アクション映画にするにはそういうシーンは少なめ。ピンナップのようなショット画面もあちこち入るうえに、突然ウォン・カーウァイ的なモノローグが入ったりして、ええ?と思う。
だって、カーウァイ的モノローグを入れるのであれば、監督本人が「あれは武侠映画ではない」と否定している「楽園の瑕」で、約20年も前に傑作を撮ってるし。あれは真性武侠映画ファンが、その手の映画だと思って観たら痛い目にあった、みたいなしてやったり感がすごく良かった。だってそれらしい服を着てそれらしい映像を撮って、その実やってることは「王家衛的男女のすれ違い」以外の何物でもなかったんだから。
ねたばれ→それにもっと映画的に面白くするのであれば、トニー・レオンとチャン・チェンの対決を最後に繰り広げるとか、そういうサービス精神はないのか?!と思う。日本人だからではなくて、カーウァイの映画で抗日みたいな政治的側面を見るとは思っていなかったのもガッカリしたことのひとつ。いきなりツィイーが「あなたのこと好きだったわ」なんて陳腐なことを言い出したのもちょっとビックリ。そういう幼稚なことを言わない映画を延々と撮り続けてきたくせに。←ねたばれ終わり
けどまあ、雨の武侠シーンはカッコ良かったし、何よりこの映画の主役はトニーよりもツィイーではないだろうか、と思うほど八面六臂の活躍をしている。
結局、カーウァイもハリウッドで映画を撮って、じゃあ何をするかとなった時、中国の巨匠たちが必ず撮ってる武侠映画ってことになったのかもしれないし、もう「王家衛的男女のすれ違い」を撮ってる場合じゃないとなったのかもしれない。興行的には一番成功したようだし、じゃあ次は何するの?という答えを、できればこんなに間をあけずに出してほしいと思う。
んで・・・その「楽園の瑕」、編集し直した終極版がこの夏上映されるみたい。デジタルリマスタリングされた他の作品も。私はまたそれを観に大阪まで行ってしまうんだろうな。



ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮 ★★★☆
2013年5月劇場鑑賞映画_a0031041_1542348.jpg観たい映画が何本かあった中、世間の評判が一番良かったこの映画に決めた。いろいろ賞も獲りまくってるし。理由としてはそれだけではなく、王家ものやコスチュームものというのが元々好きなんだけど。
だけど、うーん、今回はなぜにあんなに評価が高いのか?と疑問を持ってしまった。私にはフツーの歴史ドラマに見えるのだけど。王家ものにはゴロゴロ転がっている、結婚への失望、王の狂気、女王の不貞・・・これが「デンマーク最大のスキャンダル」だとしたら、デンマークってかなりお堅い国なのではと思ってしまう。
ねたばれ→クリスチャン7世は白痴なのかと思いきや、意外と教養も高そうだし(王家で教育を受けてるから当たり前と言えば当たり前か)、今で言う統合失調症にかかっていたらしいけど、自分の妻を「ママ」と呼ぶ辺りの幼稚さなどは、そういうのとは関係ない気もする。ストルーエンセが民のために推し進めた改革を、嬉々として賛同していたけど、どこまで理解していたのだろうか。
そしてまた、ストルーエンセがしたことは全て市民のためだったのに、全く理解されていないのも悲しい。それはカロリーネ王妃も同じで、予防接種などに尽力したのはこの人だし。あのマリー・アントワネットでさえ、飢える民のためにじゃがいもの栽培を奨めたけど、じゃがいもの形がらい病を連想させるのと、何度警告しても無知で芽を食べて中毒死する者がいたりで、余計に憎まれたそうだ。いつの時代も民は愚かなのだろうか。先々を見据えた改革を理解できないのだろうか。←ねたばれ終わり
にしても、そのマリー・アントワネットの夫・ルイ16世の「趣味は錠作り」という事実の前には、無個性すぎるともはやそれが個性みたいな、ある意味クリスチャン7世以上に白痴なのでは?と思わずにいられないし、はたまたイングランドのヘンリー8世の暴虐無人ぶりとかも、映画としてはドラマチックだし、やはり王家ものではエリザベス1世もあわせこの三大スター(?)の前には霞んでしまうなと思う。
でもまあ、良質なので飽きずには観れましたかね。カロリーネ役は先日観た「アンナ・カレーニナ」のキティ役の子。キーラ・ナイトレイの美しさの影で目立たなかったと書いてる人が多いんだけど、私的には、はいい?という感じだ。キティの方がよほど可愛かったけどなあ。



L.A.ギャング・ストーリー ★★★★
2013年5月劇場鑑賞映画_a0031041_21504784.jpgこの日は寝不足で、だけど前日にPCで座席指定購入してしまったのでキャンセルもできず、朝イチの回を観に行った。予告ではシリアスモードだったので、絶対寝るなと覚悟して行ったんだけど・・・! 睡魔が襲う余地なんてどこにもなかった。とにかくのっけからバイオレンス! ダイナミック! ストーリー的には誰もがタイトルを挙げる「アンタッチャブル」とほぼ同じなんだけど、アンタッチャブルがアル・カポネならこちらはショーン・ペン扮するミッキー・コーエン、残酷! 残虐! 顔が怖い! もう、マドンナをぶん殴った時はこんな顔だったのでは?と想像してしまうほど怖いw あまりに老け顔が進んだので結構ショックだったんだけど、ネットで調べるとやっぱり特殊メイクだったみたい。
この手の映画には不可欠なキャラ設定もうまいし、なんですかこのカッコ良いおっさんたちは!と思わずにはいられない。ここ最近ヒットを飛ばしまくりのライアン・ゴズリングと、骨格的に頭の小さい黒人以外は、みんな顔が妙にデカいのが西部劇っぽくて良い。早撃ちのケナード巡査は役的にもおいしくこんな渋いおっさんがいるのかと思ってたけど、エンドクレジットでロバート・パトリックの名前を見てびっくり。T-1000がこんな良い歳のとり方をしてたのか! 他にもニック・ノルティの名前にあの太った本部長?! 見る影もないけど確かにあの声は・・・とか、驚きの連続だったんだけど、これからは映画を観に行く前にネットで配役を確認していこうと今さらながら思った。その方が多分より楽しめるし。もう、映画を観れば観るほどなぜか俳優の知識量って無駄に増えて、逆にごちゃごちゃになっていくんだよね・・・。反対に、最近やたら出ているエマ・ストーンて、私にはいまいち良さがわからない。オマラ巡査の奥さん役の人は妙に魅力的だったけど。
ねたばれ→ラストの殴り合いが評価の別れどころとなっているようで、それって去年の「ダークナイトライジング」と同じで。でもこの映画では、コーエンが元プロボクサーという経緯や、同じく元ボクサーのカールが「よし、決着をつけよう」と拳を握り締めて銃で殺されたという前振りもあったし、そんなに唐突ではなかったのでは。
私的には「アンタッチャブル」のあの伝説のゆりかごシーンに肩を並べるようなシーンが撮れれば星5個だったけど、クリスマスツリー越しの銃撃戦はわくわくしたものの、やたらとそれをスローモーションにするのがいただけなかった。ああいうのはスピードが命だから。マイケル・マンさんを見習ってね、という感じかw←ねたばれ終わり
いやいやでも十分面白かったですよ。ゴズリングさん休業宣言したみたいだけど、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」も残ってるし、楽しみだなあ。
by bigblue909 | 2013-06-06 22:08 | 映画
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ビッグブルーの本気な無駄話。


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