人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イルカが愛を確かめにくる、青い海の底の日常生活

bigblue909.exblog.jp ブログトップ

「あわれ彼女は娼婦」 in シアターBRAVA!

しかしあちーな、おい。この暑い中、昨日はお芝居を観て来ました。どんだけ暑いんだ大阪、と思ったけど、この会場は川の傍のせいか、行くまでの道程もかなり涼しかったですよ。

というわけでシアターBRAVA!。三上博史、深津絵里、谷原章介出演、蜷川幸雄演出というビッグネーム揃いで、チケット取りは激戦だったものの、今回席がF。前から6列目だねと行って「あわれ彼女は娼婦」 in シアターBRAVA!_a0031041_8261412.jpgみると、Aが撤去されてたので5列目。すっごい前の方。今年は観るもの観るもの席運がかなり良くてラッキーです。けど4列目で双眼鏡を持って準備してた人がいたけど、あれってなんですか。俳優の毛穴とか見るんですかね。いらんだろー。
「ロミオとジュリエット」の時はセットが3階建てだったけど、今回は2階、だけど窓にカーテンが下がり、風ではためかせたり、ライトを当てたりという舞台演出が本当に効果的。イタリア中世の豪華な衣装なども、蜷川さんのは毎回お金がかかってて贅沢ですね。

シェイクスピアと同じ時代の戯曲家、ジョン・フォードの作品だけど、そのためかやはりセリフが難しく、セリフを理解することばかりに神経を持っていけないので、感情移入は難しい。この辺りはシェイクスピア物と同じだと思う。
けどそこに動きがあるのが舞台なわけで、やっぱり役者の表情を肉眼で見れる前の方は、本当にワクワクします。途中で気がついたけど、「贋作 罪と罰」の時は役者の唾が飛ぶ様まで見れて、す・すごいな(汗)と思ったけど、今回誰も唾なんて飛ばしてないんですよね。一体なんだったんだ、松たか子の尋常ではないあの唾の量は。

蜷川氏が口説き落としたという三上博史の狂気の演技はさすがですが、やはり今回BB的には谷原章介ですね。この人が登場した時、観客の女性陣が一斉にサワサワと色めきましたから。背が高いし肩幅があるし、鼻が高いしカッコ良い~♪ と休憩の時間に相方に言ったら、後半に隣の通路を通った時に、目をハートマークにしてエヘラデヘラと笑うあたしを、呆れて見ていました。前に友達にも「藤原竜也と谷原章介と武田真司が好き」と言ったら、「BBちゃんてキザな人好きだよねえ」と失笑されたし。
や、でも「嫌われ松子の一生」でジャージ・インしてた彼、頑張ってたと思いますよ。‘良き婿を演じる明朗な男’と‘嫉妬と復讐に燃える男’の裏表をきちんと演じわけてました。
今回は本当に芸達者な人が多い中、他に目立って良かったのはヒポリタ役の立石凉子という女優さん。こういう甲高い声を出さなくてもよく通る、存在感のある人って好きです。この人は客席に語りかけるタイプの女優さんで、「~なのよ、そうでしょう?」なんて顔を見られると、思わずうん、と頷いてしまったりして。

でも今年は野田秀樹の傑作、「贋作 罪と罰」を見てしまったので、全くタイプの違うものとは思いつつも、どうしても比べてしまいます。多分、人数もセットの懲りようも段違いの差がありつつも、野田氏のはアットホームなんですよね。観客と心の距離がすごく近い。
蜷川氏のは、・・・☆★☆ゲージュツ☆★☆・・・と星が飛ぶほど豪華で、ため息が出るほどレベルが高くて、だからそのぶんどうしても距離を感じるのです。ああ、全然違う世界に住んでるんだなあ・・・って、自分の位置を再確認してしまうというか。
けど、ラストでの全然腰の入ってない殺陣では、出演者たちの一斉の悲鳴と怒号と大立ち回りのすごい迫力に、思わず「ぶはっ」って笑ってしまったぐらいで、なんだかんだ言って面白かったです。

ラストは蜷川氏には付き物の、文句なしのスタンディングオベーションで、しつこいアンコールにカーテンコールを3回もして、ブラボー!の声が乱れ飛ぶなか終了でした。谷原章介は意味不明なガッツポーズをとって笑いをとってたし、深津絵里は目に星が飛んでましたね。少女漫画の目です。
多分あの距離感が、常人とは違うとは思わせる距離感が。‘天才’の証だし、日常の狭間に全く違う世界を垣間見せるあの手腕が、蜷川幸雄という人なんでしょうね。
by bigblue909 | 2006-08-13 14:20 | エンタメ
line

ビッグブルーの本気な無駄話。


by bigblue909
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite